芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
わが国におけるシバツトガの生息分布 (アンケート調査を中心に)
川本 俊一吉田 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 9 巻 1 号 p. 27-34

詳細
抄録

(1) 1978年度に被害を受けたゴルフ場の比率についてみれば関東・甲信越北陸・東海地区ではそれぞれ58.8・50.0・64.1%であり, 甲信越北陸地区が最も少なく次は関東・東海地区の順であった。また, シバツトガの伝ぱん速度はきわめて迅速であった。
(2) 1978年度に初めて被害を受けたゴルフ場の数の最も多いのは関東地区で, 栃木県および東京都ではその数は回答を受けたゴルフ場の50%にもおよんだ。1978年度のような高温乾燥な年では, この虫による被害は北関東をはじめ周辺の山地のゴルフ場にもおよび被害が拡大されていることが推察された。
(3) この虫による被害を受けなかったゴルフ場の標高の分布は0~1000mの間にあり, 被害を受けたゴルフ場の標高は500m似下で, それ以上の所では被害は発生しないものと思われる。
(4) 1978年に開場した1年目のゴルフ場でも, この虫による被害を被った。このようなゴルフ場ではシバツトガは芝草に付着して伝ぱんすることが推察された。この資料では開場後3年目にこの虫による被害を受けるケースが多かった。
(5) 開場後10年以上経過したゴルフ場でもこの虫による被害がみられた。この場合のシバツトガは, 芝生地の補植のため搬入された芝草に付着して侵入することが考察される。

著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top