抄録
レーザビームスキャニングは,連続発振レーザを用いたシート光によるパルス照明と比較してレーザ光のパワーを効率よく利用できることから,微小なトレーサ粒子からの弱い散乱を捉えるのに適している.二色のビームを同一平面内で位相をずらして走査すると,露光順序がわかるカラー二重露光画像が得られるが,本研究では,このカラー二重露光画像を利用して,迎え角40°における回転放物体背後の気流のPIV計測を行った.二重露光画像を色情報に基づいて時間分離した画像にはノイズが多く含まれるため,相関ピークを求める際のS/N比が悪くなり,過誤ベクトルが発生しやすいという問題が従来あった.本研究では,条件の悪い画像から直接S/N比の高い相関を得るための計算方法を提案し,その有効性を確認した.これより,物体対称軸に垂直な断面内では可視化結果と一致する主渦を含む速度ベクトル場が得られ,また,対称面内の速度場からは,はく離渦の発達を示す速度分布が得られた.