可視化情報学会論文集
Online ISSN : 1346-5260
ISSN-L : 1346-5252
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  • ー天空を壮大に彩るオーロラと身近な光のゆらぎ風景-
    稲垣 照美, 柴田 健雄
    2025 年45 巻6 号 p. 8-15
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル フリー

     天空を壮大に彩るオーロラ光の不思議な魅力を理論的に解明するためには,数理解析と感性評価を有機的に結びつけること重要である.本研究では,両者相互の理解を深めるために数理工学的な解析領域を画面全体および時間軸全体に拡張して人の感性との関係性をより詳しく探ることにする.すなわち,スペクトル解析の対象をオーロラが発する発光現象の二次元動画像全体へ拡張し,点と線だけからではない視覚野全体から受ける面的視覚刺激と感性について考察する.同時に,オーロラ以外の自然風景,太陽光を受けて木々が醸し出す木漏れ日,太陽光と水流が織り成す光風景,についても面的視覚野全体から受ける視覚刺激と感性について考察する.オーロラ光のスペクトル解析と感性評価に関しては著者らの先行研究が存在するが,新たに考案・導入した方法論を通じてより一層有意な知見が得られたのでここに報告する.本研究において提案した手法「自然風景が有する動的スペクトル解析を援用した二次元的・動的解析による視覚刺激評価」は,独創的な独自の取り組みでもある.

     

     その結果,オーロラ光は癒しの効果を有する可能性が高いことを改めて提示した.また,木漏れ日や滝といったオーロラとは異なる自然の風景に対しても同様の解析を行った結果,視覚的な癒し効果を有する現象が自然界あるいは我々の身近な風景にも随所に存在していることが改めて提示された.さらに,オーロラ光と他の自然現象との数理工学的な類似性についても検証し,それら相互には共通のロジックが存在していることを明らかにした.

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