2003 年 23 巻 11 号 p. 107-114
気泡流中では気液二相が互いに異なる流場を持ち,その相対速度は,気泡の並進運動特性によって支配される.近年では低Re数気泡の運動方程式モデルはほぼ確立されており,原理的に,気泡の速度ベクトルデータから液相流場を逆算することが可能である.本研究では,気泡速度ベクトルから,気泡軌跡近傍の液相速度ベクトルを逆算する手法と,その時空間的補間スキームの組み合わせにより,液相の流場を詳しく推定するアルゴリズムを提案した.このようなアルゴリズムは,トレーサ粒子を大量に散布できない工業機器や自然環境計測において利用が期待される.本論文では,気泡の並進運動に関する周波数解析から気泡運動からの推定の合理性を示したうえで,Taylor-Greenの渦流れを用いて提案したアルゴリズムの解析的評価について論じた.また,実際の気泡画像に対する実験的デモンストレーションにより,その実用性を明らかにした