定常噴流に脈動を加えた脈動噴流では,せん断層に形成される渦の挙動が定常噴流の場合とは異なり,流れの拡散・混合が促進されることが予想される.脈動を伴う流動現象は,多くの分野において重要であり,従来から多くの報告や展望がなされている.著者らは,これまでに流路高さと同じ高さを有する縦横比5の長方形断面噴出口からの脈動噴流における渦の挙動に着目し,噴流が拘束空間中に噴出する場合の渦の挙動について明らかにしてきた.本研究は,一様静止空間中に脈動を伴って噴出する長方形噴流に対する隣接平板(拘束板)の影響を,流れ場の可視化から実験的に検討した.その結果,拘束板がない場合で,さらに脈動を伴う場合には,短辺せん断層から明確な渦が発生し,渦輪の形成が認められた.したがって,長方形噴出口から発生する非円形渦輪の変形過程が,拘束板がない場合の流れ構造に大きく影響することが示唆され,拘束板の有無による流れ構造の違いを明らかにした.