京都府内の日吉ダムでは、貯水池深層への酸素供給と浅層の水温躍層解消のため、複合型の曝気循環装置が導入され、2011年8月、その装置による水温躍層の解消効果を確認する実地調査実験が実施された。実験では、曝気循環装置の近傍で、水温と流れの分布が高い空間・時間分解能で直接計測され、さらに、ビデオカメラによって深層から連行される濁水の映像が撮影された。これらのデータを分析することによって、浅層の水温躍層が、装置の運転から10分後に、半径8~10m、水深3mの範囲で破壊されていること、その外側では水深2.7mに水平方向の貫入流れが存在することが確認された。さらに、躍層破壊に関する装置性能を評価するために、装置周辺水塊の熱量とポテンシャルエネルギーの変化および、貫入流れの流量(循環流量)が求められた。