可視化情報学会論文集
Online ISSN : 1346-5260
ISSN-L : 1346-5252
近赤外域の単一波長を利用した中和反応で生成する塩濃度の可視化
川嶋 大介角田 直人有本 英伸近藤 克哉山田 幸生
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2016 年 36 巻 12 号 p. 62-70

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抄録

本論文では,マイクロ流路チップ内において酸・アルカリ水溶液の中和反応より生成する塩濃度を可視化するため,近赤外域の単一波長を利用した新しいイメージング技術を提案する.本イメージング法は,水のν1+ν3吸収バンド内にある波長1520 nmの吸収特性を利用する.波長1520 nmは,酸やアルカリ水溶液特有の等吸収点であり,これらの溶質濃度の増減によって吸光度が変化しない.一方,塩濃度に関しては吸収感度があるため,この波長の吸光度測定により塩濃度を見積もることができる.単一波長を利用した本手法を評価するため,T字型マイクロ流路を用いて,(i)水とNaClの混合および(ii) 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の反応拡散の2条件についてNaCl濃度の可視化実験を行った.測定したNaCl濃度は数値解析結果と比較してよく一致しており,提案手法の有効性を示した.

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© 2016 社団法人 可視化情報学会
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