2018 年 38 巻 9 号 p. 26-35
クロスウェーブレット解析を用いて,噴流出口速度および出口幅に基づいたレイノルズ数が10,000の二次元乱流噴流における瞬時のレイノルズ応力生成および打ち消しを分析した.X型熱線と小型静圧管からなるプローブで得られた圧力と速度勾配の相関の瞬間値をクロスウェーブレットで解析した.この分析により,スケールの情報を失うことなく,レイノルズ応力生成および打ち消しの空間構造を捉えることができた.レイノルズ応力の生成および打ち消しは,特に噴流の外側領域において間欠的に起こることが分かった. さらに,低周波域(=大スケール)では,生成と打ち消しが逆位相であり,レイノルズ応力生成と同時にレイノルズ応力の打ち消しが起こることも明らかとなった.これらの結果は,レイノルズ応力の生成と打ち消しが大規模な渦の内部で起こることを示唆している.