1993 年 17 巻 70 号 p. 1-8
衛星への搭載が計画されている展開アンテナの多くは、主鏡を多面で近似している。この近似がアンテナの近傍界や遠方界のパターンに影響を及ぼす。本研究ではまず、近傍界測定装置を構成した。次にこの装置を用いて多面近似アンテナの近傍界測定を行い、近似鏡面が近傍界に及ぼす影響を実験的に検討した。モデルアンテナを測定した結果、面素のつなぎ目に相当する位置で振幅の極大が現れた。アンテナからの距離が大きくなると、面素のつなぎ目の影響は弱まることが判明した。電流分布法を用いて求めた近傍界は、実験データとよく一致することを示した。その結果、電流分布法は多面近似アンテナの正規反射波の解析に有効であることを明らかにした。