美術教育学研究
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芸術実践と教育の結節点を探る
―「滋賀次世代文化芸術センター」の取り組みから―
大谷 祥子
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2016 年 48 巻 1 号 p. 105-112

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抄録

「造形遊び」を中心とした美術教育の実践では,不登校の子どもが登校してきたり,緘黙の子どもが話し出したり,インクルーシブが自然に行われたり,学級経営に効果があったりなど,様々な教育的意義が報告されている。本稿では,このようなことがなぜ起こるのか,アウトリーチ活動として優れた実践を続けている「滋賀次世代文化芸術センター」の連携授業の事例をもとに,その理論的根拠を探ることを目的とする。研究方法は,現象学,哲学,精神医学,教育学などの様々な文献と連携授業の具体的な事例を関連付けながら,芸術実践の内実を,〈身体〉からの相互行為,そして「学校」における〈生きられた身体〉の重要性にまで掘り下げ考察した。そのことによって,子どもが主/客を超えた没入体験を行っており,それこそが芸術実践と教育問題との結節点であることを導き出した。

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© 2016 大学美術教育学会
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