2019 年 51 巻 1 号 p. 217-224
学生が意匠権の取得までの手続を実体験することが出来るデザインパテントコンテストを授業に取り入れ,デザイン系大学ではない美術・デザイン教育における知的財産教育のあり方を考察した。本稿では,①新規性の高い物品の発想・思考,②コンセプトの生成,③特許情報プラットフォームによる先行調査,④製図の4項目のプロセスを授業で進め項目ごとに考察している。プロセスの初期段階である発想やコンセプト生成では多くの思考が認められた。また,先行調査では類似であるか否かを判断していることから,個々のデザインの特徴を自ら理解していると考える。しかし,意匠出願書類で記載しなければならない製図による表現では,定められた表現方法が要求され,学生がイメージをするデザインを示すために多くの時間を要し,学生の苦手意識が強いことが分かり,今後,デザイン系大学とは異なる授業方法の取組の工夫の必要性があると考えた。