美術教育学研究
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絵画の支持体と下地塗りの耐久性に関する考察
横江 昌人
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2019 年 51 巻 1 号 p. 353-360

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抄録

北陸のような多湿地域では,布であるカンヴァスは湿気の吸収と放出で収縮と膨張を過度に繰り返してしまい,作品の表面に剥落につながる亀裂を生じさせ,絵具の層の構造の脆弱な部分から作品の崩壊が始まる。作品の崩壊を防ぐには保管環境と共に絵を描く側も保管環境を考慮した作品制作が必要である。絵画は支持体に始まり⇒膠引き⇒地塗り⇒アンダードロウイング(下素描)⇒アンダーペインティング(下層描き)⇒オーバーペインティング(上層描き)⇒グレイズ⇒ニスで終わる,重層構造である。本稿ではそのような崩壊を招く現象を支持体と下地の問題として検証し,その解決策として,大作でも軽量で丈夫なシナベニア(合板)とペーパーハニカムを組み合わせるパネルを考案した。また,脆弱性が明らかになったカンヴァスに於いても,木枠の裏空間にぺーパーハニカムを挟み込むことで改善になることを明らかにした。

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© 2019 大学美術教育学会
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