美術教育学研究
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鑑賞的体験の言語化を通した美術の俯瞰的理解II
―プロダクトデザインの鑑賞における発問設計とその効果を中心に―
竹内 晋平塩田 侑佳
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2020 年 52 巻 1 号 p. 217-224

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抄録

本研究では,中学校美術科の鑑賞指導において美術の俯瞰的理解を意図した発問設計を行い,「発問-回答」のプロセスによる鑑賞的体験の言語化についての教育的効果を明らかにすることを目的とする。このため筆者らは,美術教員向けの「鑑賞発問設計ワークシート」の開発を行い,これを活用してプロダクトデザインを鑑賞する題材における発問設計,および授業構築を試みた。具体的には,学習活動の前半には実際に鑑賞する椅子についての個別的理解を促す発問を,そして後半にはプロダクトデザインの概念に関する俯瞰的理解につながる発問をそれぞれ設定した。授業実践を試行した後,テキストマイニングソフトを使用して生徒による自由記述の傾向についての視覚化を行った結果,「鑑賞発問設計ワークシート」の活用による鑑賞的体験の言語化は,生徒の俯瞰的な美術理解を図る上で有効であることが示唆された。

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© 2020 大学美術教育学会
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