美術教育学研究
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台湾総督府中学校における手工教育(その2)
―手工教育の実際―
鷲山 靖
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2020 年 52 巻 1 号 p. 385-392

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抄録

本論は,台湾総督府中学校における手工教育の研究にあたり,明治及び大正期の台湾総督府中学校第一部における手工教育の実際を考察するものである。関係文献を調査した結果,台湾総督府中学校は,実科(手工)の担当教員を一名雇用し,手工教室を建築し,身体の訓練や手指の練習を主とする科目として午後の教育課程に実科(手工)を位置付けた。実科(手工)は,明治44年より第一学年から第六学年までの必須科目となった。題材配置の特徴は,①第一学年では,木材の加工工具の構造や使用方法を学び,竹トンボや卓球ラケットなど平面的な作品の制作をおこなったこと,②第二学年,第三学年では,数種類の箱を制作したことである。このように第一部の実科(手工)は,木工題材が充実していた。金工題材については不明であるが,金工教室・木工教室の設備を十二分に活用した手工教育が実践されたことが推測される。

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