海外では医学教育に対話型鑑賞が用いられており,観察スキルを養うことで視診に役立つとの報告がある。本研究では,医療従事者養成校において対話型鑑賞を行い,その効果を確認するために「絵画鑑賞テスト」を実施した。その結果,介入群である作業療法学科と非介入群である理学療法学科において,介入前のベースラインでテストに書かれた文字数に有意差が認められ,各科の学習内容の違いによって文字数に差が出たものと推察された。次に,記述内容について対応分析を行ったところ介入前後で「思う」が抽出されたが,介入後は頻度が高かった。「思う」という言葉は,絵に描かれた人物の心理描写や学生自身の感じ方を言語化するために使用されており,対話型鑑賞によって観察力や想像力が高まり,絵に描かれた人物の心理や学生自身の感じ方に考えが至ったことで,共感的理解の深まりが示唆された。