美術教育学研究
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SDGs・環境に配慮した絵画教育II
―絵具の廃棄処理とテンペラ画の授業実践から―
横江 昌人
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2022 年 54 巻 1 号 p. 377-384

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抄録

SDGsを美術教育で考えた場合に作品表現における材料の扱いでは,これまで水性絵具使用後の廃液処理がほとんど論じられることがなく,当然のように下水道へ絵具水を流す教育が行われている。広く普及している下水道の処理能力で基本的には問題がないとされてきたが都市部の雨水と合水式になる下水道には降雨時にほとんど処理されない排水があり海洋への流出が否定できないことがわかってきた。そのため合成樹脂であるアクリル絵具には,マイクロプラスチックなどの環境問題につながる危険性が懸念される。そこで,アクリル系絵具の使用状況と共に絵画表現時における水性絵具の廃液処理について,炭酸カルシウムを使用した沈殿分離の方法を報告し,その処理において使用しやすい顔料の組み合わせを明らかにする。また,天然の材料を多く使用する,環境に配慮した絵画教育について,テンペラ画と油彩画の混合技法についても考察する。

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© 2022 大学美術教育学会
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