本研究では,保育者の語りから散歩における子どもの育ちを検討し,子どもの発達に与える散歩の効果を明らかにすることを目的とした。保育所の保育者を対象とした半構造化面接の内容についてSteps for Coding and Theorization(SCAT)を用いて質的分析を行った結果,32 概念,6 カテゴリーが抽出された。
全園が〈近隣の人と交流する〉に関して語っていた。子どもは保育者の率先した地域住民への挨拶等を通した交流により,地域住民から温かく見守られている安心感をもち,社会生活とのつながりを認識するようになる。また,〈身体を動かす〉及び〈広い空間で遊ぶ〉に関して語った保育所の保育者は,保育所の敷地内で充足できない活動を園外環境で補っていることが考えられる。これらのことから保育所の散歩を通して,子どもは多様な園外環境に触れることができ,発達が促進されていることが明らかとなった。