2025 年 26 巻 p. 25-34
本研究の目的は 、 保育所・幼稚園などに設置される固定遊具の安全認識の歴史的変遷を 、 すべり台製作業 者の視点から検討することとした 。 製作従事者へのインタビュー調査に基づき 、 1940 年代から 2020 年代まで の社会背景と安全意識の歴史的な変化を分析した 。 1940 年代から 1950 年代には 、 遊具の安全性があまり重視 されていなかった 。 しかし 、 1980 年代以降 、 重大事故が社会問題化したことをきっかけに 、 使用者や製作業 者の安全意識が高まった 。 2000 年代までには 、 国の指針や業界の安全基準が整備され 、 安全性の確保が必須 となった 。 その結果 、 現在では 、 すべり台を含む固定遊具の製作には 、 安全性と楽しさのバランスが求めら れるようになり 、 製作業者は 、 安全点検などを含めた保育現場との協働を通じて 、 その安全性の向上に努め るようになってきていることが示唆された 。