抄録
本研究では,包括的単一項目の視点に基づいたポジティブ/ネガティブな感情と感覚のレベル(LOPANES)と心身の状態を一次元で測定する尺度(SDPSS)を試作した。専門学校生83名に同尺度とPANASやGHQ 12を含む質問票調査を実施した。その結果,LOPANESとSDPSSに床効果と天井効果は生じなかった。LOPANESのポジティブ感情と感覚のレベル(LOPES)については,SDPSSの心身の状態やPANASのポジティブ感情といったポジティブな指標と正の,LOPANESのネガティブ感情と感覚のレベル(LONES)については,PANASのネガティブ感情やGHQ 12といったネガティブな指標と負の相関を示した。さらに,GHQ 12を利用してハイリスク群と健常群に分類し,各群の特徴を検討した。ハイリスク群はLONESが高くLOPESと心身の状態が低い特徴を,健常群はLONESが低くLOPESと心身の状態が高い特徴を有していた。今後,これらの尺度の臨床における実用化への検討が必要である。