2022 年 17 巻 p. 68-
本稿では,大阪市阿倍野区の買い物環境とフードデザートの状況について調査した.阿倍野区では高齢化が進んでおり,高齢者世帯人口の分布は地理的に偏っている.阿倍野区の高齢者世帯人口の分布とスーパーマーケットの分布を把握することにより,それらの指標をもとにフードデザートマップを作成した.高齢者世帯人口が多く,かつ,フードデザートの状況に置かれている地域は阿倍野区の南西部に存在している.また,阿倍野区の商店街は,店舗数の減少や商店街内のスーパーマーケットの閉店により,生鮮食料品を買い揃えられる商店が減少した.商店街の変化は,周辺の買い物環境に影響を及ぼし,フードデザート発生の一因となる.フードデザートについては,スーパーマーケットからの距離だけでなく,地形も関係する.高低差が大きい地形であれば,フードデザートの範囲に含まれずとも,フードデザートが発生する.