都市地理学
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Print ISSN : 1880-9499
論説
6大都市の都心区における人口の再集中化
富田 和暁
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2013 年 8 巻 p. 1-

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抄録
本稿の目的は、日本の6大都市の都心地区を代表する6つの行政区における1990年代後半以降の人口再集中化(再都市化)と住民の属性の変化について検討することである。その行政区は、札幌市中央区、東京都中央区、名古屋市中区、京都市中京区、大阪市中央区、福岡市中央区である。検討の結果、明らかになった要点は以下のとおりである。 (1)すべての都心区において1995年以降2010年まで、人口が増加し続けている。この増加は、都心区における人口の社会動態が減少から増加へと転換したことによる。この人口の社会増加は転出者の減少による寄与は小さく、転入者の増加の寄与が大きい。転入者数の増加はバブル経済崩壊後の地価の下落や経済の低成長に伴う都心区におけるマンションの大量供給によると考えられる。 (2) 6都心区ともに、1990~2010年の年代別の人口増加率は男女ともに30歳代が最も高く、2010年には30歳代の人口が男性も女性も最多となった。この30歳代の人口増加に大きく寄与したのは、当該区外からの30歳代の転入者が多かったことである。とくにこれが顕著であったのは東京都中央区である。 (3)以上のように6つの都心区に共通した変化が明らかになったが、都心区間の差が大きいことも認められる。おもな差として、① 1960~95年の人口減少率と② 1995年以降の人口増加率がある。これらの都心区間の差を生じさせる慕本要因として、その都心区が属す都市の階層差を指摘できる。
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