都市地理学
Online ISSN : 2434-5377
Print ISSN : 1880-9499
研究ノート
郊外NPO による子育て支援施設の役割と可能性
―高蔵寺ニュータウンのひろば型拠点を事例として―
久木元 美琴由井 義通若林 芳樹
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2013 年 9 巻 p. 78-87

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抄録

 本研究では,名古屋大都市圏郊外に位置する春日井市の高蔵寺ニュータウンにおいてNPO 法人が運営する子育て支援施設を対象に,供給の経緯や利用の実態を,関係主体への聞き取り調査と利用者へのアンケート調査から明らかにした.非共働き世帯を対象とした地域子育て支援拠点事業は保育の多様化の一環として,NPO 法人を含む多様な主体により供給されており,NPO 法人を中心とした団体(「ひろば全協」)の加盟施設は大都市圏郊外に多く分布していた.本研究の対象施設は,商業施設やUR 都市機構より場所を提供され,既婚女性の出産退職後の地域活動を母体としたNPO 法人によって運営されている.居場所提供事業のほか一時保育が実施されており,専業主婦のみならず働く母親にも利用されている.当施設で提供される一時保育の準日常的な利用と親族サポート等の組み合わせによって就労を可能にしている利用者もみられた.本事例は,従来の公的保育では提供されづらかった多様なニーズの受け皿と柔軟な保育サービスの供給源として機能している.

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© 2013 日本都市地理学会
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