チョコレートの原料として知られるカカオ豆,カカオニブ,カカオマスによるノシメマダラメイガの発育について,温度 25℃,相対湿度 70%,日長 16L8D の条件で調査した.各原料において孵化幼虫はまったく発育しなかったが,それぞれ形状を細かくすると,カカオ豆では平均羽化率 46.6 ± 5.4%,平均発育日数 90.5 ± 4.9 日,カカオニブでは 6.6 ± 4.4%,141.5 ± 28.5 日で孵化幼虫が成虫に達した.他方,玄米で 14 日齢まで発育し,顎が発達した幼虫を未破砕のカカオ豆,カカオニブ,カカオマスに投入した際には,成虫まで発育できたことから,孵化幼虫では顎が未成熟なためこれらの原料を十分に摂食できず,発育できなかった可能性を示した.