富山大学医学会誌
Online ISSN : 2758-819X
Print ISSN : 1883-2067
原著
精神科リハビリテーション介入におけるエンパワーメント効果
田中 いずみ
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2009 年 19 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
目的:本研究の目的はリハビリテーションを行う精神疾患患者の事例から,どのような状況でエンパワーメントとディスエンパワーメントが起こるのかを明らかにすることである。
研究方法:総合病院の精神科外来でSSTを行っている,統合失調病型障害の患者,男性,28歳であった。データ収集について面接法,観察法の他に,診療録を資料として用いた。分析方法には生活史法を援用し,事例研究を行った。
結果:ディスエンパワーメントが起こった局面では,それに関わる状況として〔病気の苦しみ〕〔生活の困難さ〕〔病気の認めがたさ〕〔孤立した状況〕が見出された。エンパワーメントが起こった局面では,それに関わる状況として〔看護師とのつながり〕〔病気の苦しみ〕〔病気の認めがたさ〕〔家族との絆〕〔目標の設定〕〔SSTへの参加〕〔SSTメンバーとの対話〕〔問題の意識化〕〔情報の選択〕〔行動の拡大〕〔対処能力の向上〕が見いだされた。
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© 2008 富山大学医学会
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