ボース粒子の原子集団を絶対零度近傍まで冷却すると、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)と呼ばれる相転移を生じる。BECは物質の第5の状態とも呼ばれ、その特異性から近年盛んに研究が行われている。しかし、BECは原子の量子性に起因する統計的な現象であるため、直感的な理解は容易ではない。さらに、BECを実現するためには大掛かりな実験設備が要求されるため、現実に観測することも困難である。以上のことから、BECは物理学的に重要かつ大変興味深い現象でありながら、一般的には馴染みのない現象である。そこで本研究では、初学者でもBECを直感的かつ視覚的に理解できるよう、VR空間上でBECの形成から観測までをデモンストレーションするワールドを構築した。更に、ネットワークを通じて遠隔でBECを形成できるサービス”Oqtant”を活用し、その実験結果をデモンストレーションにおけるパラメーターに反映した。