植生学会誌
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原著論文
日本各地における照葉樹林優占種の開芽時期
大野 啓一
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14 巻 (1997) 1 号 p. 1-14

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抄録

  1.日本の東北地方から西表島までの17地域の照葉樹林において,シイ属とタブノキ属,コナラ属アカガシ亜属の樹種の開芽時期を調べた.まず,千葉でスダジイとタブノキの芽ぶきの過程を調べた.これを基に,各地で観祭日における芽ぶきの状態からその樹種の開芽時期を推定した.
  2.シイ属の開芽時期は,西表島で12月下旬〜1月上旬,沖縄本島で2月中旬〜3月上旬,徳之島で3月下旬,屋久島で3月中旬,大隅半島で3月下旬〜4月下旬,奈良で4月下旬,房総半島で4月上旬〜下旬,宮城県名取で5月上旬〜中旬であった.タブノキ属,コナラ属アカガシ亜属の樹種の多くもシイ属とほぼ同時期に芽ぶいていた.これらの開芽時期は,諸文献の概略的な記録とも一致した.
  3.シイ属の開芽は,北ほど遅くなり,南北で約5カ月の時差がみられた。しかし,緯度の増加に対する開芽時期の遅れは北ほど小さかった.
  4.日本列島の照葉樹林の優占種群では,気候条件の地域的な違いに対し,種間での開芽の同調性はほぼ保たれたまま,開芽時期が北ほど遅れることが明かとなった.

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© 1997 植生学会
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