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植生学会誌
Vol. 14 (1997) No. 1 p. 15-24

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http://doi.org/10.15031/vegsci.14.15

原著論文

  1.日本列島では,12月〜5月にかけて南ほど早く,北ほど遅くシイ(スダジイとその亜種オキナワジイ)が開芽する.このようなシイの開芽時期と地域差をもたらす要因を,開芽直前の気温の面と遅霜,および年間同化量最大化の面から検討した.
  2.シイの開芽中とその直前の気温を各地で比較したところ,日平均,日最高,日最低気温とも本土と南西諸島との間で差が認められた.したがって,シイの開芽時期は,地域間で同一の暖かさの到来によって決まっているのではないと考えられる.
  3.温度-光合成関係と葉の成熟・老化過程を用いて年間の純同化量を求めるモデルを作成した.このモデルに日本各地の気温データを代入するシミュレーションをおこない,年間の純同化量が最大になる最適開芽時期を求めた.
  4.日本本土では,実際の開芽時期は降霜期間の終りと一致しており,最週開芽時期とは一致しなかった.霜の降りない南西諸島では,シミュレーションで得られた最適開芽時期と実際の開芽時期とは一致した.
  5.以上のことから,日本列島におけるシイの開芽時期は,同一の暖かさの到来によって決められているのではなく,霜の降りる地域では霜による被害を避けつつ,年間の同化量が最大になるように決められていると考えた.

Copyright © 1997 植生学会

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