Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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短報
高知県の更新統および現世海岸砂から得られた二枚貝の新種カネコクルミガイ
三本 健二
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2011 年 69 巻 3-4 号 p. 210-213

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抄録

高知県西南部の更新統および同県東端部の現世海岸砂から見出された小型のクルミガイ科二枚貝の新種を記載する。
NuculaLamellinucula kanekoi n. sp. カネコクルミガイ(新種・新称)
殻は小型で殻長1.9 mmを超えない。胎殻は皿状。終殻の殻表は,最初期の部分には放射条および輪脈があり,他の部分には細い放射細肋(前後の縁辺部を除く)と強い輪肋がある。鉸板は幅広い。弾帯受は小さくて,亜三角形。腹縁内面は細かく刻まれる。
本種は,オーストラリア近海の現生種N. mayi(Iredale, 1930)およびN. revei Bergmans, 1978 に類似するが,N. mayiとは終殻初期の部分の殻表の放射条,皿状の胎殻および終殻の強い輪肋により,また,N. revei とは放射細肋が終殻の前後縁部にはないことおよびより強い輪肋により区別される。日本産の種の中では下部浅海産のマメシジミナリクルミガイN.L. gemmulata Habe, 1953およびヨセナミクルミガイN. (L.) tokyoensis Yokoyama, 1920に類似するが,殻が小さい。また,前者とは鉸板が幅広いことで,後者とは弾帯受が傾かないことで区別される。
四万十市平野の中部更新統平野層最下部(タイプ産地)から多くの化石が,また,東洋町白浜の海岸砂から多くの死殻が得られた。
種名および和名は,更新世の貝類化石研究についてご指導下さった故金子寿衛男先生(1913–2001)に献名する。

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© 2016 日本貝類学会
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