2023 年 81 巻 1-4 号 p. 93-97
イシガイNodularia douglasiaeについて,グロキディウム幼生が寄生を継続して稚貝に変態できる魚種を確かめた。自然下で貝と分布が重複する8魚種(オイカワ,グッピー,ムーンライトグラミィ,タイワンキンギョ,カワアナゴ,ウキゴリ,ヌマチチブ,ゴクラクハゼ)に幼生を寄生させて継続飼育し,各魚種から離脱してくる幼生と稚貝を観察,計数した。その結果,オイカワ,ヌマチチブ,ゴクラクハゼ,ウキゴリ,グッピーの5魚種から,変態を完了した稚貝が離脱してきた。これらのうち,前3種はイシガイの宿主として既知の魚種であった。本報ではウキゴリとグッピーの2魚種が,新たな宿主として記録されたことになる。これら2魚種は飼育下だけでなく,自然下においてもイシガイの繁殖に寄与している可能性がある。