1981 年 40 巻 2 号 p. 98-101
昭和55年11月16日対馬(長崎県)南端の厳原町豆酸の小型定置網によって漁獲された大型(外套長53.5 cm)のイカを検した結果, 日本を含む北太平洋未記録のヨーロッパアカイカOmmastrephes caroliであることが判った。形態的特徴は大西洋産のものに合致するが, 体比率からみると南西太平洋から最近(1976)発見された一亜種O. caroli stenobrachium Rancurelに同定される。日本海には屡々太平洋起源の表層性頭足類の漂移が知られているので, 本種もそのひとつと考えられるが, 南西太平洋のストックから北太平洋方面へいかなる連続性があるかは解決されない。