サガミミノウミウシPhyllodesmium serratum (Baba, 1949)は体長最大40mm, 普通は10∿25mm。外形上の特長として背側縁の鰓突起=ミノ突起は細長で, 単一な円柱状を呈し, 脱落性で, 偏圧することなく, 先端部は彎曲しやすい。口触手・触角共に単一, 足隅は短角状。全体部地色は黄白色, 背部は内臓透見のため黄色強くなる。口触手・触角・鰓突起等それぞれの上半部は蛋白色。背中線上には1条の蛋白色縦帯がある。全体部は光線のぐあいで, 青白色に見える。鰓突起の中脈(肝盲管)は橙赤色。顎板縁は少数の小歯を生じる。歯式は15×0.1.0.各歯はV字状, 主歯尖の両側には各側多数の小鋸歯を配列し, これによってクセニアウミウシ属(広義)Phyllodesmium (s.l.)中に編入された。サガミミノウミウシは腔腸動物・八放サンゴ虫類のハナゴケCornularia sp.を摂食するという(大川1990)。