2018 年 2 巻 1 号 p. 15-19
【はじめに】発声時に活動する呼吸補助筋は姿勢の変化と関連している。本研究の目的は、健常成人を対象に、姿勢の変化が発声時の呼吸補助筋の筋活動に及ぼす影響を明らかにすることとした。
【対象】対象は呼吸器系や筋骨格系、発声器官に既往のない健常成人男性7名とした。
【方法】測定姿勢は背臥位、端座位、立位の3姿勢とした。測定項目は最長発声持続時間、発声時の腹直筋、外腹斜筋の筋活動、及び筋活動開始時間とした。
【結果】最長発声持続時間は背臥位に比べ端座位と立位で有意に長かった(p<0.01)。立位は端座位に比べ、腹直筋の筋活動が高かった(p<0.05)。発声時の腹直筋、外腹斜筋の活動開始時間では、背臥位は立位、端座位に比べ、活動開始時間が有意に遅くなることが示された(p<0.05)(p<0.01)。
【考察・結論】姿勢の違いによって発声時の呼吸補助筋の筋活動には各々の特徴があることが示された。発声練習時の姿勢を検討する一助となることが期待される。