2018 年 2 巻 2 号 p. 49-57
精神科ソーシャルワークにおいて、過去の対人関係での傷つきから、クライエントが後に関わる他者や環境に対しても強い不信や不安感、怒りを抱き、信頼関係を築くことが困難なケースが多数存在する。相互性に欠ける関係性の中では社会資源を有効に活用できず、クライエント自身の持てる能力が十分に発揮されない。そしてさらに、クライエントの自尊心の低下をもたらす。本稿では、クライエントとの信頼関係を形成する試みを通して、ワーカー-クライエント関係の中で繰り返される悪循環のパターンの一部が変化した事例を報告し考察を加えた。ワーカー-クライエント関係を通しての対人関係の再体験が、社会的活動参加への動機づけを高め、就労に繋がった事例である。