笑い学研究
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小学生版J-GELOPH〈6〉の構成と信頼性・妥当性の検討
野村 亮太尾之上 高哉丸野 俊一
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 17 巻 p. 26-34

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抄録

本研究の目的は、小学生の“笑われることに対する怖れ”の程度を測定する小学生版J-GELOPH〈6〉を作成し、尺度の信頼性・妥当性を検討することである。小学4年生から6年生までの710名を対象に、GELOPH〈15〉ならびにJ-GELOPH〈15〉に共通して含まれており、かつ、社会的恐怖の診断基準にしたがって選んだ6項目に回答を求めた。その結果、尺度は十分な信頼性を備えていることが示された。また、本邦では他諸国に比べ“笑われることに対する怖れ”の平均値が高いことが示された。これは、成人を対象にした調査とも一致するものであり、文化的な差を示しているものと考えられる。また、小学生版J-GELOPH〈6〉と共感性尺度、向社会的行動尺度との相関係数は、本邦の“察する”文化を前提にすれば理論的に整合するものであり、尺度に妥当性があることが示唆された。今後の研究では、小学生版J-GELOPH〈6〉を用いて、個人特性や環境要因に潜む「笑われ恐怖症」に至るリスクを検討していく必要がある。

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