笑い学研究
Online ISSN : 2423-9054
Print ISSN : 2189-4132
ISSN-L : 2189-4132
笑いを通して語られる女性の「本音」に関する一考察
『祝女』を事例に
石田 万実
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 28 巻 p. 45-57

詳細
抄録

 男性が中心となってきた日本の笑いにおいて、女性の感覚が取り入れられ、女性の「本音」が語られたとき、どのようなことが表現されているのか、「女のホンネ」をテーマにしたNHK総合の番組『祝女』を事例に、放送当時の意識調査を参照しながら分析、考察を行った。  分析の結果、様々な状況や立場にある女性の恋愛や結婚に対する「本音」が笑いとともに表現されていることがわかった。家事役割や尽くすことなど従来の「女らしさ」への抵抗が見られる一方で、男性には従来の「男らしさ」を求めるといった女性の矛盾した「本音」が表れていた。しかし恋愛や結婚にテーマが集中しており、当時の調査で「男性の方が優遇されている」と感じている人が多かった職場をはじめとする社会の様々な場における女性の境遇に対する「本音」はほとんど語られていなかった。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top