雑草研究
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原著論文
土壌水分がシロザ種子の休眠状態に及ぼす影響
今泉 智通浅井 元朗渡邊 寛明内野 彰
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2011 年 56 巻 3 号 p. 147-153

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抄録

土壌水分がシロザ種子の休眠状態に与える影響を検討するため,畑条件・過湿条件・湛水条件において土壌表面および土壌中で越冬したシロザ種子の発芽率を調査した。2010年2月に,畑条件・過湿条件・湛水条件に設定した1/2000 aワグネルポットの土壌表面および土壌中にシロザ種子を設置した。種子は設置2ヶ月後から1ヶ月間隔で4回回収し,発芽試験およびTTC検定により発芽の有無および死滅を判定した。休眠状態は生存種子における発芽率で評価した。土壌水分がシロザ種子の休眠状態に与える影響は土壌中種子に対する湛水条件の効果が顕著で,湛水条件における生存種子発芽率は畑条件および過湿条件と比べ常に低く,湛水により休眠誘導が進むことが示された。土壌表面種子では,過湿条件・湛水条件は畑条件より休眠誘導の時期が早い傾向が認められるものの,湛水条件による土中種子の休眠誘導効果ほど大きくなかった。7月回収種子では畑条件でも他と同様に休眠誘導が進んでいた。以上のことから,湛水処理により土壌中のシロザ種子の休眠誘導が進むと考えられた。

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© 2011 日本雑草学会
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