雑草研究
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原著論文
長野県松本市におけるヒルガオとコヒルガオの雑種(アイノコヒルガオ)の分布と非対称的な交雑
篠原 義典市野 隆雄
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2018 年 63 巻 2 号 p. 15-22

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抄録

ヒルガオとコヒルガオは,ともにヒルガオ科の多年生草本である。両種は,葉の形などの形態によって区別されるが,野外では中間的な形態を示す個体が多く観察されている。両種は,人工的に交配可能であり,送粉者も共通していることから,このような個体は両種の種間雑種(アイノコヒルガオ)と推定されている。本研究では,ヒルガオとコヒルガオの野外での交雑の実態を理解するため,長野県松本市の59地点においてサンプリングを行い,個体ごとに形態から雑種を判別した。その結果,59地点中29地点で,形態的に雑種と判別される個体が生育していることが明らかになった。次に,雑種と判別された個体について,核DNAの遺伝子型(ITS領域)と葉緑体DNAの遺伝子型(rpl16領域)を調べた。その結果,核DNAにおいて,雑種個体はヒルガオとコヒルガオの遺伝子型をヘテロで示した。一方葉緑体DNAにおいては,ほとんどの雑種個体がコヒルガオの遺伝子型を示した。このことから,ヒルガオとコヒルガオの間では,コヒルガオが胚珠親となる非対称な交雑が起こっている傾向が強いこと,雑種個体はほとんどF1で構成されていることがそれぞれ示唆された。

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© 2018 日本雑草学会
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