雑草研究
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2,4,5-T, 2,4-D, ATA, CAT, DPAの単用および混合剤による非農耕地, 山林原野植物の殺草, 殺木反応
笠原 安夫西 克久木村 忠司
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1963 年 1963 巻 2 号 p. 76-81

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抄録

1) 除草剤の散布は, その種類, 単用, 混合の割合, 分量によつて, 雑草の種類に対する殺草反応の強弱のため, 種類別被度を大きく変化する。 例えば夏季散布で翌年の同時期には一般的に多年生の殺草効果が大きい処理区ほど被度が減少し, 裸地状態になり, 裸地が多いほど夏季1年生雑草が多年生雑草に代つて増加してくる。
2) 非農耕地では一般に単剤よりも混合剤が除草効果が大きく, 供試薬剤中で効果の最大なものはATA, 2,4-D, DPA混合剤200gで, 散布後20日間で裸地状態となり, その後約1ヵ月間は同状態に保持し得, ついでATA, 2,4-D, CAT混合剤200gであつた。 チガヤ, メヒシバにはDPAの単剤およびそれが含まれた混合剤が有効であり, ヤブカラシにはATAと他剤との混合剤またはウィードン2,4-Dが効果的である。
3) 2,4-Dソーダ塩は広葉雑草には効果が大きく, 全雑草に対する効果はDCMU, CAT, amibenがDPA, ATAよりやや大きい。 ATA単剤は広葉多年生雑草やスギナには効果があるが, イネ科雑草には効果が少なく, DPAはイネ科雑草には単用でもかなりの効果がある。 よつてキルジンのようにATA, 2,4-D, DPAの混合ではその効果を増大する。 また2,4,5-T, 2,4-Dのブトキシエタノールエステル型除草剤にも, イネ科雑草の茎葉からの接触的吸収のために速効的な殺草効果があつた。
4) 山林原野の殺草・殺木試験では, アキノキリンソウ, オカトラノオ, アリノトウグサ, イヌガンピ, ヤマハギ, ヒサカキなどには供試各薬剤とも殺草・殺木反応が著しく, 枯死するものが多い。 またコナラ, ミズナラ, ワラビには2,4,5-T, 2,4-Dのブトキシエタノールエステル型が有効で, また両者の混合剤も効果が大きい。 しかし2,4-D, 2,4,5-Tのソーダ塩混合では効果が低い。 イヌツゲ, サルトリイバラに対してもその殺草力は小さいが, 傾向は同じであつた。
5) アカマツ, クロマツ, ネズは供試薬剤中最も抵抗性が大きく, 各薬剤はいずれも効果が小さく, ただH-DD (2,4-D+DPA) の多量散布 (ネズを除く) において若干の薬害反応が見られた。

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