雑草研究
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ヨモギの生理生態およびその防除法に関する研究
第2報 種子繁殖について
伊藤 健次井手 欽也井之上 準
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1967 年 1967 巻 6 号 p. 100-107

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抄録

(1) ヨモギは短日植物であり, 全日長下では花をつけなかつた。
(2) 1株内の開花順序は, 主茎の中央部の第1次分枝の基部および中央部において最も早く次第に周辺に及び, 主茎の頂端部は最もおそかつた。なお北部九州における出蕾期は8月下旬~9月上旬, 開花期は9月下旬~10月上旬であつた。
(3) ヨモギ1株当りの頭花数は2千~1万4千で, 1頭花内には約15~17個の小花があつた。なお1頭花内の舌状花および筒状花の割合は4:6ないし5:5であつた。
(4) 1株当りの稔実率は2~40%であつたが, 平均すると約20%であつた。このことから1株当りの稔実粒数は5千~4万粒と考えられる。
(5) 開花後種子が発芽能力を持つようになるまでの日数は約20日で, 50日経過すると発芽能力はほぼ最高となつた。また約70日経過すると自然落果が始まつた。
(6) ヨモギ種子には休眠はなく, 越冬は一般に双葉の幼苗の形で行なわれるようであつた。
(7) ヨモギ種子の最適発芽温度は20~30℃, 最高発芽温度は35~40℃, 最低発芽温度は0~5℃と推定される。なお光の有無および変温は発芽に影響がなかつた。
(8) 出芽は土壌水分10~20% (絶乾比) で良好であり, 温度については比較的低温において高温より良好であつた。また水分飽和状態の土壌でもわずかながら出芽した。
(9) ヨモギは煮沸水中でも発芽し, 最大6葉ぐらいまで生長を続けた。
(10) 土壌硬度0.1kg/cm3では覆土の厚さ0.5cm区で播種種子の30%が出芽したが, 1cm区では全く出芽しなかつた。また0.2kg/cm3では覆土0.5cm, 1cm区ともに全く出芽しなかつた。
(11) 播種後60日目の実生苗の茎の基部に培土したところ, 茎基部の腋芽が新地下茎に変化することがわかつた。

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