雑草研究
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畑雑草種子の地中における死滅の様相について
渡辺 泰広川 文彦
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1971 年 1971 巻 11 号 p. 40-43

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抄録

1964年11月に15種の雑草種子を土壌とともに竹筒につめて圃場に埋あ, 4年半にわたって埋土種子の発芽率を調べ, 種類による種子の死滅の様相から寿命の長短を比較した。
埋土種子の死滅の様相は, 種類によって大きく違ったが, いくつかの特徴がみられた。すなわち, エゾノギシギシ, オオツメクサ, シロザ, タニソバ, ハコベ, アキメヒシバ, アオゲイトウ, イヌホウズキ, スカシタゴボウ, ナギナタコウジュの10種は, 埋土半年, つまり翌春の発芽率が80~100%に達した。しかし, その後の種子の死滅は, 前の5種が緩慢で4年半後でも40~70%発芽したのに比べ, 後の5種は4年半までに大部分死滅し, 発芽した種子は0~7%にすぎなかった。
アキノエノコログサ, イヌタデ, オオイヌタデ, ツユクサは, 埋土翌春の発芽率は60~70%で比較的低かったが, 4年半後にも 10, 16, 44, 32%とそれぞれ相当発芽した。
ヒメイヌビエは他の雑草に比べ種子の死滅が早く, 埋土翌春で発芽したものは27%にすぎなかった。4年半後には3%であった。
以上のように, 北海道における主要な畑雑草の種子は地中寿命が相当長く, 数年で完全に死滅するものは極く少ないことが明らかになった。

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