雑草研究
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Chloroacetamide 系化合物の除草作用特性に関する研究
竹松 哲夫近内 誠登竹内 安智
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1971 年 1971 巻 11 号 p. 44-50

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抄録

化学構造の極めて酷似している chloroacetamide 系化合物4剤<A (CP-5223), B (CP-53619), C (CP-50144), およびD (CP-44939)>の除草活性, 作物選択性, 土壌中の行動, および水田条件下ですぐれた性質を示したB (CP-53619) の作用特性について実験を行なった結果を要約すると次のようになる。
(1) 4剤とも茎葉処理力に乏しく, 発芽前土壌処理型の除草剤である。
(2) 除草力は, 4剤ともイネ科>>広葉雑草であり, そのうちメヒシバにはD>A, B, Cである。しかし, Aは広葉雑草にもかなりの作用がある。
(3) 作物抵抗性に関して, きびしい条件下で比較した。その結果, ダイズ, ダイコン, ワタ, ソバなどが共通して抵抗性を示し, イネやキウリは感受性であった。しかし, Bのみは例外的にイネに作用が小さい。
(4) 土壌中の行動: 土壌中の移動はA>>C>D>Bの順に大であった。土壌中の分解不活性化はD>A>>B>Cの順に長いが, Bでもかなり長期に及び60日位である。
(5) 湛水土壌処理 (水田条件) においては, Bのみが移植イネに安全で, ノビエ, 広葉雑草, マツバイに卓効が得られ, 実用性が認められた。
(6) B (CP-53619) の作用特性: 湛水田では, ノビエの発芽時に1cm以上の水深で処理すれば安定した効果がある。また処理適期幅が広く, PCPの2倍以上である。Bは, 粒剤 (5%) でも極めて短時間で水中に拡散~土壌吸着が行なわれる。また0.5~1時間位でノビエ種子に吸収~浸透し, 特に幼芽に作用して発芽時のノビエ幼植物の生育を阻止する。

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