雑草研究
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果樹園の雑草管理に関する基礎研究
日照条件の相違が下草群落に及ぼす影響
植木 邦和伊藤 操子沖 陽子
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1977 年 22 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

1) 果樹の種類, 樹齢, 整枝法等の相違による園内日照条件の差異と下草群落との関係について, ナシ若木園棚下, ナシ成木園棚下, カキ成木園の樹間および樹冠下の4区において比較調査した。日照条件は, ナシ若木園>カキ園樹間>ナシ成木園>カキ園樹冠下の順に良好であった。
2) 出現草種については, 日照条件の最も異なったナシ若木園とカキ園樹冠下との間に顕著な相違が認められた。なかでも前者では, 夏生イネ科雑草の種類が多く, その優占度も高かったのに比較して, 後者では夏生イネ科雑草がほとんど発生しなかったことが注目された。
3) 調査圃全体を通しての冬季の優占種はスズメノカタビラで, 夏季の優占種はメヒシバであったが, 両者の交代の様相については, 各区間に明らかな差異が認められた。すなわち, ナシ若木園では明確な交代がみられたが, ナシ成木園およびカキ園樹間ではメヒシバはかなり発生したもののスズメノカタビラとの交代期は不明確であった。また, カキ園樹冠下では, メヒシバは6月にわずかに出現したのみで, 夏季を通してスズメノカタビラが優占した。これらの現象は, スズメノカタビラの生活環が日照条件により変動したことに起因している。
4) 群落の階層構造についても, ナシ若木園とカキ園樹冠下との間に最も大きな相違が認められ, さらに群落の相似の程度の量的指標である頻度指数群落係数もこの両区の間で常に最も低かった。

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© 日本雑草学会
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