雑草研究
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メヒシバと陸稲の競争に関する研究
第1報 両種の生育特性の差異について
高柳 繁岩田 岩保
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1978 年 23 巻 2 号 p. 59-66

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抄録
メヒシバと陸稲の競争の機構と過程を解明するための基礎的資料を得る目的で, 両種の個体植区 (播種密度100cm×100cm), 単植区 (同10cm×10cm) と混植区 (10cm×10cm, 図1) で両種の生育特性を, 物質生産過程を中心に比較検討した。結果の概要は次のとおりである。
1) 茎長は全区とも出芽当初は陸稲が長く, 播種後50日過ぎからはメヒシバの方が長くなったが, 草高は混植区以外では全生育期間にわたって陸稲が高かった。また主茎葉数・一次分げつ数・穂数はおおむねどの区でも終始メヒシバが多かった。
2) 全区とも, 出芽当初のメヒシバの全乾物重と葉面積は陸稲より著しく小さいが, 生育初期での生長速度が陸稲よりはるかに大きいため, 葉面積は播種後約40日, 全乾物重は約50日で陸稲を上回り, さらにこれらの差異は生育が進むにつれて拡大した。
3) 乾物重の器官別構成割合は, 生育の初・中期には両種とも似かよっているが, 出穂期以後は, 陸稲では穂重の占める割合が高くなり, 成熟期には個体植区・単植区では全乾物重の約35%に達するのに対し, メヒシバの穂重割合は成熟期でも約10%と低いが, 代りに茎重割合が高く, 全乾物重の65~70%を占めた。
4) 各区での両種の乾物生産の優劣関係は生長の初期のRGRの差によっておおむね決定され, さらにこのRGRの差は主にLARの差異に起因するもので, NARの種間差は比較的少ない。LARをLWRとSLAに分けて検討すると, メヒシバのSLAは生育初・中期には全区とも陸稲より極めて大きく, このことが結果的にLARの種間差をもたらしていることが分かった。
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© 日本雑草学会
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