雑草研究
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温州ミカン園におけるブロマシル除草剤の連年使用の影響に関する研究
第3報 ミカンの生育, 収量ならびに果実品質に及ぼす影響
高橋 健二坂井 義春原田 豊広瀬 和栄
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1978 年 23 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

10年間にわたるブロマシルの連用が温州ミカンの樹体の生育, 収量ならびに果実の品質に及ぼす影響について検討した。
1. 幹周の肥大は連用2年目から差がみられ, 無処理区 (年2回草刈区) に比べ処理区はいずれも良好な肥大を示した。製品量でa当たり20, 40g区の実用使用濃度では幹周の肥大が特に良好で, 200gの高濃度区では肥大が劣り, 生育がやや抑制される傾向が認められた。
2. 200gの連用によっても, ミカンは枯死することなくほぼ正常な生育を示したが, 処理後約1ヵ月経過すると葉脈が網目状に黄白化する症状が強く現われ, それは約6ヵ月間認められた。
3. 収量は無処理区に比べ処理区の方が多かった。20, 40g区が最も多く, 200gの高濃度区は収量が少なく無処理区と大差なかった。実用使用濃度では大玉果の割合が高く, 無処理区と高濃度区では小玉果の割合が高くなる傾向が認められた。
4. 着色, 浮皮, 果皮歩合等果実外観をはじめ, 可溶性固形物, クエン酸含量等果実の内容について検討した結果, 無処理区との間に有意差は認められず, ブロマシル連用の影響は認められなかった。
5. 200gの5年間連用によっても, 収穫果実の果皮, 果肉中にブロマシルが残留することは認められなかった。

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