1979 年 24 巻 1 号 p. 28-32
イヌホタルイの種子の休眠覚醒に及ぼす冷湿処理中の種子の貯蔵方法, 温度, 明・暗条件, 薬剤などの影響について検討し, 大要次の結果を得た。
1. 5~20℃の畑水分土, 湛水土, 水に埋没・浸漬されると休眠覚醒が進んだ。15~20℃の畑水分土と湛水土の貯蔵が最も有効で, 処理14~30日後から高い発芽率を示した。
2. 5~30℃に6か月間風乾貯蔵しても休眠覚醒はなく, まったく発芽しなかった。
3. 浸透価0の水で冷湿処理した種子の発芽率が高かったのに比べて, 浸透価5~6以上の水溶液で処理した種子はほとんど発芽しなかった。
4. 冷湿処理中の暗期の短い種子に比べて, 暗期の長い種子ほど休眠覚醒が進み, 高い発芽率を示した。そして採種後日数の経過につれて, 発芽に対する暗条件の必要性が減少した。
5. チオ尿素よおびLグルタミン酸0.01~1%水溶液の休眠覚醒効果は高く, 次いでLグルタミンで, 硝酸加里, 亜硝酸加里, GA3では休眠覚醒効果が低いかあるいはほとんど認められなかった。