1981 年 26 巻 1 号 p. 19-23
雑草の環境適応の機構を明らかにする研究の一環として, メヒシバ, スベリヒユの生育と種子生産の構成要素に対する遮光条件 (自然日射の100%, 60%, 40%および25%) の影響を調査した。
1) 全生育期間を通して, 両草種の生長量は一般に遮光度が強まるにつれて減少したが, 成熟期におけるメヒシバの茎長は60%区で, スベリヒユの茎長は25%区でそれぞれ最大値を示した。
2) 種子生産の構成要素は, メヒシバでは遮光度が強まるにしたがい減少したが, 千粒重の減少は顕著でなかった。スベリヒユでは個体当たりのがい果数, 種子粒数および種子重は60%区で最高を示し, 他の形質は遮光度が強まるにつれて減少した。
3) 再生産効率は, メヒシバでは3~4%の値を示し, 遮光度による差異は認められなかった。また, スベリヒユでは60%区で最高を示し, 遮光度による変異は5~26%の範囲を示した。
4) 表現型可変性は, 生長量を示す多くの形質においてメヒシバがスベリヒユに比べて高く, 種子生産の構成要素は反対にスベリヒユが高い。しかし, 千粒重は両草種ともに低い値を示した。
5) 上記の結果から, メヒシバは自然日射条件区で, スベリヒユは60%区で安定した生育を示すことから, 両草種の日射条件に対する適応性には明らかに差異が認められた。