1983 年 28 巻 4 号 p. 260-265
2, 3-dicyano-5-propylamino-6-(3-chlorophenyl) pyrazine (K-503) の選択殺草性及び色素生成阻害作用について検討した。
1. K-503は2.5g/aの土壌処理でメヒシバ, エノコログサ, カヤツリグサ, スベリヒユ, オオイヌタデおよびアオビユを完全に枯殺した。一方, ワタおよびヒマワリは10g/aで全く害作用が認められなかった。
2. 土壌混和処理における各種作物のK-503に対する耐性はワタ, ヒマワリ>>ダイズ, ダイコン>トマト, テンサイ>>陸稲>トウモロコシ, コムギ>キュウリの順になることが示され, 特にワタおよびヒマワリは極めて大きな耐性を示した。
3. K-503は60g/aの土壌処理でも主要品種である4品種のワタおよび2品種のヒマワリのいずれに対しても全く薬害を生じず, 品種間の感受性差異は認められなかった。
4. 圃場試験ではK-503は10g/aの土壌処理でメヒシバ, エノコログサ, オオイヌタデ, アオビユおよびシロザに対して90%以上の殺草効果を示し, ワタおよびヒマワリには20g/aでも全く害作用を示さなかった。
5. K-503は白化現象を伴って枯殺する作用を有することから, 色素生成に関しても調査した。その結果, K-503はカロチノイド生合成におけるフィトフルエンからζ-カロチンへの脱水素過程を阻害していることが推察された。