雑草研究
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メヒシバと陸稲の競争に関する研究
第2報 乾物生長と高さの生長との関係
高柳 繁
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1984 年 29 巻 4 号 p. 295-300

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抄録

物質生産機能と群落構造を兼ね備えたメヒシバと陸稲の混合群落の生長モデル作成の一段階として, 両種の乾物生長と高さの生長との関係の数式化を試みた。数式は, 1974年に熊本県で実施した実験1, すなわち両種の個体植区 (栽植密度1m×1m), 単植区 (同10cm×10cm) と混植区 (10cm×10cm, 交互植) の計5区と, 1980年に茨城県で実施した実験2, すなわちメヒシバの5cm区 (栽植密度5cm×5cm), 20cm区 (20cm×20cm), 40cm区 (40cm×40cm) と, 5cm区と40cm区を相対照度30%に遮光した2区の計5区における生育過程を追跡した結果をもとに導いた。関係式には相対生長の法則に基づく単純相対生長式と拡張相対生長式を主に採用した。結果の概要は次のとおりである。
1) 地上部乾物重を一次分げつ数 (メヒシバ・陸稲) または全茎数 (メヒシバ) で除した値と草丈との間には処理・生育時期を込みにして相対生長関係が認められた。メヒシバについては, 一次分げつ数より全茎数を用いた式の方が適合性が高かった。
2) 一次分げつ数 (メヒシバ・陸稲)・全茎数 (メヒシバ) と茎乾物重の間に処理・生育時期を込みにして相対生長関係が認められた。
3) 草高と草丈の間には陸稲では一次回帰関係が認められた。メヒシバでは栽植密度が高い処理区や遮光区での草高/草丈の値が高くなることから, 草高は光条件に規制されるものと推定され, 自然条件では葉身が遮光の役割を果たしていると考えた。そこでメヒシバの草高と, 草丈に各処理区のLAIを乗じた値との関係をみると, 両者の間には実験1, 2を通して処理・生育時期を込みにして相対生長関係が認められた。

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