抄録
オルベンカーブのイネ科植物特にコムギ, メヒシバ間における選択作用機構について検討を行なった。水耕法により生育させた8種類のイネ科植物の茎葉部または根部を1時間オルベンカーブ水溶液に浸漬し, その後の生育を調べた。その結果, コムギ, エンバク, イネが高い抵抗性を, またメヒシバ, ヒエ, シコクビエ, トウモロコシが高い感受性を示した (Fig. 1とFig. 2). その傾向は茎葉処理の場合に著るしかった。
8種類のイネ科植物の中からコムギ (抵抗性) 及びメヒシバ (感受性) を選定し, 14C標識オルベンカーブの吸収, 移行並びに代謝について検討した。茎葉部及び根部からの吸収は両植物間で大きな差が認められた (Fig. 3とFig. 4)。特に茎葉からの吸収には著しい差が生じた。しかし移行には大きな差はなく共に求項的移行を示した (Fig. 6とFig. 7)。茎葉部浸漬処理によるオルベンカーブの茎葉部閃代謝において, 両植物ともにジクロルメタン画分, 水画分並びにメタノール末抽出残査の変化の割合はほとんど差がみられなかった (Table 2)。オルベンカーブの分解速度もほぼ同じであった。しかし分解代謝産物は両植物間で差がみられた (Table 2)。
植物体内代謝に対するオルベンカーブの作用を調べる必要があるが, 以上の結果よりオルベンカーブのコムギ, メヒシバ間の選択作用性を規定する主要因の1つとして吸収速度の差を挙げることができると思われた。