雑草研究
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多年生雑草コウキヤガラの生態
第1報 塊茎からの出芽特性
小山 豊深山 政治山岸 淳武市 義雄
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1988 年 33 巻 2 号 p. 105-113

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抄録

コウキヤガラの防除法確立の資料を得るため, 塊茎の萌芽及び出芽特性について, 主にポットにより調査・検討した。
1) 塊茎の休眠は5℃の低温処理で完全に覚醒しが, 20℃では125日間の処理でもほとんど覚醒しなかった。屋外の土壌中では秋から冬の低温により休眠が覚醒した。
2) 萌芽好適温度は20~40℃, 最高温度は約45℃, 最低温度は5~10℃の間であった。
3) 塊茎からの出芽に好適な土壌水分は最大容水量の80%以上であった。
4) 塊茎の出芽限界深度は, 畑水分条件では地表下10~15cm, 湛水条件では地表下15~20cmであった。湛水条件では10cm以下で出芽塊茎歩合が低下し, また, でんぷん添加による土壌の還元処理は10cm以下での出芽を抑制した。
5) ポットによるモデル実験では, 代かき時にはすでに全塊茎の30~40%が出芽しており, 代かき後に出芽した塊茎は全塊茎の10~15%であった。未出芽の塊茎は埋土期間が長くなると二次休眠に入った。
6) 耕うん及び代かき処理により出芽は一時阻害された。耕うん及び代かき処理により, 全出芽塊茎数は非常に減少したが, 出芽終期は変わらず6月上旬であった。

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